「ばんざい屋」に来る人たちは、みんな優しい。

 

100年の時を超えて美術品としての側面を持つアンティーク。
それより新しい時代に作られ、人々の手を渡ってきた品はブロカントといいます。
明治、大正、そして昭和初期に作られたブロカントの食器で饗されるおばんざい。

集まるお客の人間模様を一つ一つたどりながら、すっと浮かび上がってくる女将の過去。
恋愛でもあり、ヒューマンドラマでもあり、ミステリーでもある傑作です。

 

本作は次の3点で、その描写がすばらしいと思います。
1に、四季折々のおばんざいが季節感をよく表しているということ。
2に、お客を見る女将の目はとても温かく、そして、その女将を見るお客さんの目も温かいということ。
3に、人から人へ回り回っていくブロカントの品々が物語を象徴していること。

 

解説を書いた池上冬樹さんが、自ら本作の解説を書かせて欲しいと編集者に頼み込んだ、その気持ちがわかるような気がします。

 

最初の章での女将の言葉を紹介します。
「人から人へ、生活から生活へ。回りまわって、いろんな人生の中にいて、それで何かの偶然でわたしのところに来る。そしてまた、わたしが死んだら、誰かのところへ。古ぼけた物を見ているとね、いったいこれはどんな人生を見て来たんだろう、どんな秘密を知っているんだろうって、不思議な気持ちになるの」

そして、女将自身もまた1つのブロカントだったのでしょう。

 

未読の方のために詳しく書けませんが、清水のオルゴールが素敵なエピソードになっています。
奇跡のオルゴールに託した想い。

ぜひ皆さんにもお読みいただきたいと、お薦めします。

 

目次
聖夜の憂鬱 ばんざい屋の十二月
桜夢 ばんざい屋の三月
愛で殺して ばんざい屋の七月
思い出ふた色 ばんざい屋の十月
たんぽぽの言葉 ばんざい屋の四月
ふたたびの虹 ばんざい屋の六月、それから……
あなたといられるなら ばんざい屋の九月

Related Entry
    Comment





       

    Calendar

    S M T W T F S
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031    
    << December 2019 >>

    Archive

    Recommend

    Mobile

    qrcode

    Selected Entry

    Comment

    Link

    Profile

    Search

    Other

    Powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM